書籍・雑誌

2014/05/04

珈琲店タレーランの事件簿

こんにちは、最近めっきり創作活動をしていませんが八久斗を名乗らせてください。

前年度はなんかもうてんで創作意欲が湧かなくて延々とソーシャルゲームをやっていました。ソーシャルゲームヤバい。面白くなくてもハマる。毎日ログインプレゼントとかプレイ時間を増やそうとする魂胆が見え見えなのに乗せられる。そしてなんでみんなあんな課金してんの。

自分が関わっていないからなのかもしれませんが、最近フリーゲームの動きが減ってきていますね。何というか、時代はもうオンラインなのかなーなんて思ったりもします。さびしい。
いや、まあ、好きなことに変わりはないですし、けじめはつけるつもりでいますが。

前置きが長くなりました。
最近少し本を読む元気が出てきたので「珈琲店タレーランの事件簿(岡崎琢磨 著)」を読みました。前年度読んだのは「折れた竜骨」のみでしたね。あ、記事も書いてないや。そのうち。
このミス応募作の惜しくも大賞に漏れた作品、らしいです。随分前に買って家に置いてあった。何で買ったのかはもう憶えてませんが、立ち読みで一章が面白かったんだったかな。あと表紙が割と好みだった。
喫茶店を訪れる主人公と、そこのバリスタである女性(探偵役)を中心に話が進む日常ミステリです。短編連作といい、始めコミカル後半シリアスといい、好みの要素があちこちに。

(以後、若干のネタばれを含みます)

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2012/07/14

ふたりの距離の概算

こんにちは、氷菓がアニメ化して嬉しい反面、大勢の人に見られて独占気分が失われてアンビバレンツな八久斗です。どちらにしろ深く話せる相手がいればいいのですが。

最近どうも調子が下り坂です。夏バテもあるのかもしれない。そんな中でも今日はちょっと調子が良くて、文庫が出た「ふたりの距離の概算」を読みました。古典部シリーズ5作目です。
一応連載当時に読んでいたので結末は知っているのですが、それはそれで伏線に気がついて面白いです。キャラの掛け合いは相変わらず笑えるし。

(以後、古典部シリーズと「さよなら妖精」の微妙なネタバレを含みます。それとかなり自分なりの解釈が入っていると思います)

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2012/01/20

あおこよ

おそくなりましたが、
あけましておめでとうございます。
ことしもどうぞよろしくおねがいします。
おそらく2作品出せる…はず…

なんと。なんとなんと!
あの古典部シリーズがアニメ化です。
楽しみです。反面怖くもありますが。またあの感動を味わえるといいな。
自分の地域で放送されるのだろうか…いやそもそも見られる時間帯なのだろうか…DVD借りることになるかもな…
キャラデザが自分のイメージに合いすぎていて、スタッフの方々にあの絵を見られたのではと自意識過剰な妄想をしています。うむむ、あれ消そうかな…

で、自分のほうですが。
随分久しぶりにコンテンツ更新しました。
今回もグウゼンセイの下書きを先行公開することにします。モチベーション維持のために。
読んでもらいたいようなもらいたくないような…
あらすじを知ると面白さが半減してしまうような気がするのですが、どうなのでしょう。
気になって夜しか眠れないという方は、どうぞ。

それでは本年も無理せず怠けずやれればと思います。
みなさんも体には気をつけて。だるい。

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2010/08/15

海の底

こんにちは、漫画を読みながら食事すると少ない量で満腹になるからダイエットになるんじゃ?とか思った八久斗です。すごく行儀悪いですけど。

今回読んだのは有川浩さんの「海の底」です。ストーリー・セラー(Story Seller収録)を読んで以来、気になってた作家さんです。今のところ好きな作家って米澤さんくらいしか挙げられないので、増やしたいんですよね。で、どうなるかなと思って読んだ作品。

突如海から現れた大量の巨大エビ。奴等は人を襲い、食らう。パニックになる市民達。その中で米軍基地を見学に来ていた子どもたちはエビに追われて乗組員と共に潜水艦に立てこもる。その中でのゴタゴタと、エビと警察の戦いを描いた話です。

結論から言うと、面白かった。読み終えて気づいたら日付が変わっているという事態に久しぶりになりました。熱中した。
ちょっと情報過多な印象を受けるかもしれませんが、適当に切り捨てても読めます。位置関係の描写とか多いけど物語には深くかかわらないし。端役にまで名前が付いているため登場人物もやたら多いですが、半分くらい憶えれば大丈夫です。子どもたちの中にもほとんど描かれないのもいるし。

エビVS人類!っていう怪獣モノと思いきや、子どもたちの人間関係がメインだったりします。コイツとコイツはいつもつるんでて、コイツとコイツは犬猿の仲で、コイツはコイツのことが好きで・・・みたいな。特に圭介。コイツが本当に問題児で、序盤は完全に悪役なのですが、内面が描かれていくにつれて段々と、ね。ここらへん上手いなと思います。終盤とか完全に圭介に持っていかれるし。圭介の成長物語だし。
恋愛要素もしつこくない程度に入っていて自分の好みです。あまり恋愛メインの小説は苦手なので。

それにしてもこんな非常事態でも自衛隊って簡単には出せないんですかね。米軍基地ってそんなデリケートな場所なのか。警察と自衛隊と米軍がもっと連携を取れればと思うのですが、そこはやっぱり大人の事情というやつなのでしょうか。

さて、他の本も読んでみるかな。でも結構人気作家らしく、図書館でも常に貸し出し中なんですよね。今回は運が良かった。
こういうときにマイナーな本って競争相手がいなくていいですよね。あ、でも本当にマイナーだとそもそも図書館に置かれないか。うーん。

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2010/08/04

遠回りする雛

こんにちは、ピザポテトが100円ショップで売っていて得した気分になった八久斗です。だってあれ普通だと130円くらいするんだぜ。

最近やたら本の紹介が続きますが、別に大した理由はありませんよ。

随分前に話題にした「遠回りする雛(米澤穂信著)」がついに文庫化されました! 待望の古典部シリーズ! わーい! 早速買ってきて読みましたとも。

今回は短編集の形式をとっています。なんと豪華7本立て。「氷菓」に始まる折木奉太郎の神山高校入学から春休みまでの1年を描きます。そんなわけで今までの3冊を引っ張り出して読み比べながら進めました。こういうときに図書館じゃなくてちゃんと買ってる本っていいですね。今までに出てきたキャラクターもちょい役で登場したりして楽しいです。

さて、先に短編集と書きましたが、さにあらず、これは短編連作です。ちゃんと1話がその後の話の伏線になってるんです。雑誌掲載のときは順番をバラバラにして書いていたそうで、それがちゃんと繋がっているのがすごいです。え、これって単行本化したときに加筆修正したんですよね? そうじゃなかったら先読みスキルが恐ろしすぎる。

・やるべきことなら手短に
入学直後の物語。古典部シリーズって書き出しが特徴的ですよね。雰囲気に浸れました。ただ、ミステリとしてはイマイチ。動機は「はい?」だし、怪談の真相も無理がある気が。

・大罪を犯す
1学期の物語。サイトで粗筋を読んだ限りでは、何故千反田が怒ったのかを推理するのかと思ったのですが、違いましたね。でも謎は方向性も示されているし、分かりやすかったです。珍しく自力で解けた話。

・正体見たり
夏休みの物語。これは見取り図が欲しかったなー。イマイチ頭の中で状況が再現できませんでした。でも読後のほろ苦さはなかなかのもの。

・心あたりのある者は
2学期の物語。やばい。これはやばい。ミステリとしては傑作。こういう切り口は楽しいですね。日常にも応用が利きそうです。「九マイルは遠すぎる」のオマージュということで、これはますます元ネタが読みたくなりました。

・あきましておめでとう
新年の物語。タイトルワークが好きです。ミステリというよりは脱出劇ですが、ここで「連作短編」の真価が発揮されます。まさかこう繋がってくるとは。感動しました。

・手作りチョコレート事件
3学期の物語。まあトリックというか情報の穴も分かったし、犯人の見当もつきましたが、動機が難しかった。説明されてもなかなかピンと来ませんでしたが、要するに「摩耶花と付き合ったら摩耶花といることを純粋に楽しめなくなる(嫉妬とか)」ということでしょうかね。

・遠回りする雛
春休みの物語。これもミステリとしては弱い気がしましたが、どちらかというと奉太郎の心境変化を読んでニヤニヤする話ですねこれは。加えて将来の話なんかされるとうわ青春だと。終盤の奉太郎の考えを見て「え、お前千反田家に婿入りする気か」とか思いましたが、ちょっと安直でしたね。

以上、なかなかボリュームのある作品でした。1篇100円以下。お買い得でした。
この後の古典部がどうなるか、続きが気になりますね。でも終わりに近づくのは嫌だなーという矛盾した気持ちをどうしたらいいのか。はっ、これが青春?

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2010/08/01

理由あって冬に出る

こんにちは、轢断死体は生きて轢かれたか死後に轢かれたかは法医学で分かると知って、それならカノウセイのあのトリックは無意味だなあと思った八久斗です。まあいいですけど。

今回紹介するのは似鳥鶏さんの「理由あって冬に出る」です。面白いペンネームですね。苗字は本名かしら。

学校の芸術棟に幽霊が出るらしい・・・そんな噂を晴らすべく、夜の学校に連れてこられる主人公の葉山君。そして現れる影。後を追うがなんと現場は密室で・・・興味を抱いた伊神先輩は葉山君を助手に安楽椅子探偵と洒落込みます。

そんな感じで幕を開けるミステリー。日常ミステリに分類してもいいのかな? ウィキペディアで日常ミステリ作家として書かれているのを見て読んだのですが。

率直な感想は、「久しぶりに良質のミステリに出会えた!」。特に1つ目の謎はトリックは単純だし、犯人の絞り込みも見事。そして解決したと思いきや新たなる謎が!という展開も興味を物語に引き込んでくれます。見取り図もちょくちょく出てきて親切。2つ目の謎のトリックはちょっとヒントが足りない上に無理がある気がしましたが、まあ悪くはない。
さらに終盤は怒涛の展開。あの本編に比べて異質だったプロローグがああいう形で関わってくるとは意外でした。そしてさらにそれがひっくり返るのも驚き。

最近ちょこちょこ日常の謎といわれる本を読んでいるのですが、なかなか良いのが無かったんですよね。どうも論理が飛躍してたり、読者に解かせる気無いだろっていうものばかりで。フェアアンフェアを厳しく言うつもりは無いですが、個人的にはミステリたるもの、ある程度読者にも推論の余地を与えなくちゃいけないと思うんですよね。解明のシーンで「へー、そうなのか」じゃなくて、「そういえばそうだった!」と思わせるような造りであるべきだと。つまり伏線を張れってことです。その点、この作品は良い出来です。特に1つ目の謎が本当に鮮やか。こういう作品がもっと増えてくれないかなと切に思います。

ただ、唯一にして致命的な欠点がエピローグ。個人的にはこれは蛇足だったと思います。好みによるんでしょうけど、これは無いほうが良かった。これによってリアリティーが一気に崩れてしまったんですよね。
何事も、山場と締めが全体の評価に繋がるというのを聞いたことがありますが、その意味では非常に惜しい作品でした。でもまあ、久々にミステリらしいミステリが読めたので若干甘くつけて星4つ。

本作がデビュー作ということで、今後の作品に期待したい作家さんです。続編もあるんですよね、これ。どうしようかな、買おうかな、ちょっと迷います。

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2010/07/31

ボトルネック

こんにちは、1週間くらい外に出なくても平気な気がする八久斗です。どうなのそれ。

今回は「ボトルネック(米澤穂信)」です。結構前に読んだのですが、紹介しそびれてました。

まず、キャッチコピーが秀逸。「若さとは斯くも冷徹に痛ましい」。読んだあとに振り返ると、まさにそうだと感心してなりません。作品全体に流れる鈍くて心に突き刺さるような空気。個人的にあまり暗い話は好みではないのですが、この作品はあまりにも痛々しさが見事に描けているので紹介したくなりました。

主人公嵯峨野リョウが恋人が死んだ現場を訪れる所から話は始まります。その場所は東尋坊。帰ろうとしたとき、ふっと意識が無くなり崖下に転落・・・したはずが、いつの間にか自宅の近くに。不思議に思いながら帰宅した彼を今度は見知らぬ女性が出迎えます。彼女と話すうちに、彼はここが自分の生まれなかった世界(正確には彼女、嵯峨野サキが生まれたために彼が不要とされた世界)だということに気づきます。元の世界に帰る方法を探すため、リョウとサキは町中を見て回ることになるのですが・・・

ボトルネックというタイトルを見て、自分は生物学の瓶首効果を連想したのですが、作中では経済学の用語として使われているそうです。流れの中に狭まった所があると、そこが全体の流れを妨げる。だから「ボトルネックは排除しなければならない」。

若干ネタバレになりますが、話のメインはリョウの世界とサキの世界の間違い探し。生まれてきたのがリョウではなくサキだったことで、一体何が変わったのか。
結果を言ってしまいますと、何につけてもサキの世界のほうが上手くいっています。しかもそれがサキの言動のお陰だということも証明される。それを知って、リョウは考えるわけです。どうして僕は生まれてきてしまったのかと。サキが生まれてくればよかったのに、どうして僕の世界では僕だったのかと。それが読んでいて非常につらい。恋人の死の真相が分かっても、どうとなるわけでもない。推理小説で無力感というのを久しぶりに感じました。

この前本屋で、「ミステリを読むならこれ!」みたいな感じで紹介されていたのですが、個人的にそれはどうかなと思います。ミステリとしてはちょっと謎が弱い。最初の謎はなかなか面白いとしても、あとは「想像力」の問題だし、メインの謎も知識が必要と来てる。だからこれは痛々しい青春物語として読むのがベストだと思います。

続きでちょっと核心に迫る話。

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2010/07/27

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ

こんにちは、将来癌になるとしたら消化器系だろうなと思う八久斗です。刺激物大好きなので。

久しぶりに本の紹介です。滝本竜彦さんの「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」。さいはてHOSPITALに影響を与えた作品だということで前々から興味があったのです。

読み始めて早々、語り口がさいはてっぽいなーと思いました。いや逆なんですけどね。やたらと繰り返すフレーズとか「~だぜ!」とか。どちらを先にやるにしても、雰囲気にニヤリとできるかと思います。

主人公はちょっぴり不良で怠惰な生活を送る高校生、山本陽介。あるとき彼は戦う美少女、雪崎絵里と出会います。日常に無い「何か」をそこに見出した彼は、彼女の戦いを半ば強引に手助けすることに。
彼女は何故美少女戦士なのか。宿敵チェーンソー男とは何者なのか。彼らはチェーンソー男を倒すことができるのか。ローテンションな青春活劇です。

こんなストーリーではありますが、アクション要素はメインではありません。彼らは1ヶ月以上にわたって毎晩戦うわけですが、そのほとんどがカットされています。じゃあ何が主眼に置かれているのかというと、陽介と絵里の交流、そして陽介の日常でしょうか。
こんなんじゃいけない気がする。やるべきことがある気がする。でも何をすればいいのか分からない。そんな青春らしい悩みを抱えた陽介に、チェーンソー男を倒せば幸せになるといって聞かない絵里。彼らの成長物語、ではないのかもしれませんが、なんとなく「氷菓」に近いものがあるような気がしました。
というか、自分はこういうあまり熱血ではないけれどみたいな青春が好きなのかも。

いくらナイフで刺しても死なない、人外の力を持ったチェーンソー男。彼の正体は明示されませんが、読めば何となくこういう存在だったのかと分かるかと思います。その位置づけに気づいたとき(思い込みかもしれませんが)、すごく納得してしまうと同時にこの作品がすごい面白くなりました。

今調べたらラジオドラマに漫画、映画と結構マルチメディア展開してるんですね。
さいはてをプレイ済みの方もしてない方も、悩める青春物語をどうぞ。

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2009/11/13

魔法飛行とスペース

こんにちは、「ボトルネック」の文庫本を発売日に買ったはいいものの、勿体無くて未だに読めずにいる八久斗です。こんなことならフェアーまで待つんだった。

「魔法飛行」と「スペース」を続けて読みました。「ななつのこ」の続編です。エピローグを読んだ感じではこれで完結の様子。ちょっと寂しいですが、この後を描かれても困る気もするし、丁度いいのかもしれません。

「魔法飛行」の方は前作と同じ形式で話が進みます。手紙に謎を書き、返事に答えが。しかし今回は2人しか知らない手紙のはずなのにもう1通、差出人不明の返事と答えがあってちょっと不気味です。謎は今回も丁度いいレベル(3話目は風船に答え書いて凧糸で伸ばして飛ばしたという方がいい気がしましたが)。最終話の伏線回収は強引だなと思いつつも、思いがけないところがドンドン繋がってうわあという感じでした。これだから短編連作は面白い。
でも最後の追跡シーンは北村さんの「秋の花」にそっくりで、影響受けたのかなぁ、だとしたら失敗だなぁと思いました。場所当ては推理の余地が無くて御都合主義の気が。

と、2作目はまあまあだったのですが、「スペース」はやられた。これは序文に書いてある通りにシリーズとして読まなきゃ駄目だ。
こちらは連作短編ではなく中篇二本立てなのですが、どちらも明かされる真実に愕然。これは読み返さざるをえない。話の最初どころか「ななつのこ」からもう一度読み直してもいいくらいのレベル。思わず「やられた!」と溜息を吐いてしまいました。お見事。
1話目は確かにあの部分は微妙に引っかかった。でもウサギさんとネコさん宇佐美さんとふみさんだと決め付けて読んでいた時点で負けです。まんまと罠にはまってしまった。
2話目は何てこと無い話(推理する部分があまり無いという意味で)だと思って読んでいると最後に今までの全てにつながる事実をポンと示されて悶絶です。確かに時系列を考えれば予想できる展開ではあったけど!

というわけで駒子シリーズ3部作。難易度も丁度良く、話も穏やかで構成も上手い良作でした。とくに「スペース」は騙される快感というものを知りました。日常の謎も奥が深いです。もっと世の中に浸透するといいなぁ。でも一方でマイナーのままであって欲しいとも思う自分。矛盾してるなぁ。

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2009/10/12

ななつのこ

こんにちは、気がつくとよく鎖骨を叩いている八久斗です。人差し指と中指でトンツクトンツク。樽叩きみたい。

「ななつのこ(加納朋子)」を読みました。またもや日常の謎です。最近、休日に1冊本を読むと有意義になる気がしてきました。

主人公がとある小説(これも日常の謎)に感動し、その作家と手紙のやり取りをします。主人公は日常に起こった不思議な出来事をファンレターに添え、その返事には推理が書いてある。
北村さんの影響を多分に受けたらしく、なるほど語り口はそっくりです。でも正直、こっちの方が好みです。謎があっさりしていて、ボリュームもある。全7話なのですが、それぞれ作中作が出てくるので謎はその倍くらいあります。ミステリーと呼ぶにはおかしなものも混じっているので、実際はもう少し少ないのですが。

最近、自分は幸せな話が好きなんだなと思います。だから日常の謎が好きなのかなと。
普通、推理小説では人が死にます。一人でも死ねば、それは完全なハッピーエンドにはなりえない。でも人が死ななければ、ハッピーエンドになりうる。また、誰も死ななくても、そこに強い悪意があれば、後味は悪くなります。
その点、この作品は非常に幸せです。悪意が無い、又は薄い謎ばかり。難易度もそれほど高くなく、楽しく考えることができました。

しかも短編連作です。伏線回収というものはほとんどの作品で見られますが、ミステリーではそれが顕著です。短編連作となれば尚更。最終話で今までのピースが繋がるときの感覚は非常に心地良いです。

謎として好きなのは2話ですね。絵画の展示会に行った主人公は大きな絵を見て思わず触ってしまい、絵の具が欠けてしまいます。慌てて逃げ出した主人公ですが、やっぱり謝ろうと思い、戻ります。しかし問題の場所にその痕跡は無く、見間違いだと言い張るオーナー。絵の雰囲気もさっきと微妙に変わっており、主人公は贋作のすり替えを疑いますが…
1話は関係無い(と主人公が思っている)ことまで手紙に書いていて不自然な気が。6話はミステリーじゃないだろと言いたくなるオチですが、心温まる話です。
それと、非常にさりげないのですが、「ななつのこ」のかけ方は上手いなと思いました。

どうやらこれもシリーズモノらしいので、続きも読んでみます。この2人が安易な展開にならなかったのがまたいい。

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